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フランスでの小さな日常のメモ

ホーリー・モーターズ

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ホーリー・モーターズ

数週間前、パリをバスで移動中に、巨大な廃墟を目にして、それが15年前によく買い物したり屋上に上ったりしていたサマリテーヌ(デパート)だと知ったとたん、しばらく愕然としました。

恥ずかしながら、閉店したことすら知らなかったという…そんな自分にも愕然。
閉店してから10年だそうですが、たった10年建物の手入れをしないだけで、こんな人類滅亡後の建物みたいになるんですね。

全てがキラキラしたパリの中だけに、そこだけ異様な存在感で、見つめていると、自分が一世紀ほどタイムスリップしたような感覚になりました。

その後すぐ、レオス・カラックス監督の『ホーリーモーターズ』という映画を見ました。
高校生のとき、監督の『汚れた血』を見て、その胸をしめつけられるような世界観に衝撃を受けました。

その後、過去作品の『ボーイ・ミーツ・ガール』を見て、それもすごく良かったのですが、『ポンヌフの恋人』では、おや?と首をかしげ、『ポーラX』に至っては、難易度が高すぎでもうわけがわからず、それ以来、カラックス監督の作品から遠ざかっていました。

それが先日、マイミク(ミクシィのお友達)さんが、日記におもしろかったと感想を書いておられました。

『ポーラX』のことがあるので、たとえわけがわからない内容でも、わからない感じを楽しめるもの、たとえばデヴィッド・リンチ監督の『インランド・エンパイア』とかだったらいいんだけど…、とつぶやいたら、『インランド・エンパイア』寄りかもというお返事。 『ポーラX』からどんなハンドルの切り方をしたら『インランド・エンパイア』になるのか、半信半疑でしたが、見たらおもしろかったです。

その劇中でサマリテーヌが出てきたのですが、閉店したことを知らなかったら、セットかと思ったに違いないです。